映画に映像的(絵的)面白さを感じ得ないことを前提に観るとすれば、例えば三谷幸喜に期待するものはうるさいくらいのセリフによるドタバタな掛け合いであり、S・キングに期待するものは予想を覆すドッキリなストーリー展開です。私は別にどちらも熱狂的に好きだという訳ではないのでこれ以上専門的には語れませんが、監督や脚本家にはそれぞれの特質があってそこを重視すべきことは観る者の優しさだと考えます。ですから今回は端からストーリーを重視してみようと思い映画館に足を運んだわけですが、その優しさが失敗だったのかもしれません。
精神障害やら二重人格という素材を的確に弊害を生じさせずに使えている作品になかなか巡り会えないというのは、きっと踏み間違えると夢オチと同じ展開になってしまう危険を孕んでいるからだと思います。または現在ではどんなに立派な人格者であろうとも時と場合によっては様々な側面を持っているというのが世論ですから、自分とはまた別の自分が意識の及ばないところにおいて勝手に人を殺してしまった、というのは理由にはならないじゃないかと思うのです。映画の終わり際にも「解決してないじゃんか」と思わず叫びたくなりましたが、たとえそのもやもや感が狙いだと言われても、それなら10年前のサイコホラーをウチで観てる方がましだと感じる始末ですから。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』で気づいたらハリウッド大作の味を占めてしまったJ・デップですが、本来なら彼ほどのB級映画大スターはいないのです。あの海賊娯楽映画は残念ながらC級でしたが、彼の出演作はことごとくB級に属されます。今回は前評判がやたらと高かっただけに、ここまでくると映画云々ではないような気さえします。きっとJ・デップはA級やC級をB級にする力があって(分かりづらいですが、これは褒め言葉です)、評判を作り出す他のすべての要素を薄めて全部自分のところへ集約してしまっているかのようです。『デッドマン』も『アリゾナ・ドリーム』も大好きな映画で舐めるように観ていますが、やっぱり彼にはダサダサで悲壮感漂うダメ男がお似合いです。B級映画で十分です。路地裏の小汚いラーメン屋でちょっとだけ格好良いお兄さんが働いているのを発見した、そんな気分になります。だから足繁く通ってしまうんですよね。料亭には到底通えません。
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[2004米/ソニー・ピクチャーズ][原題]Secret Window[監督][脚本]デビッド・コープ[製作]エズラ・スワードロー[製作]ギャビン・ポロン[原作]スティーヴン・キング[撮影]フレッド・マーフィー[音楽]フィリップ・グラス[出演]ジョニー・デップ/ジョン・タトゥーロ/マリア・ベロ/ティモシー・ハットン/チャールズ・S・ダットン




