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2004年06月15日

華氏451 ≒摂氏233 ≠華氏911 ≠KURE556

華氏451ちょっと古いニュースです。マイケル・ムーア氏が『華氏911』というタイトルの映画でパルムドールを受賞しました。配給に関していろいろとモメたようですが、日本でもそろそろ公開されるそうですね。(恵比寿に行くのはちょっと面倒ですけれども)楽しみにしています。




華氏451は名作中の名作、今敢えて書くこともないと思われるので、今日はSFの見方について考えてみたいと思います。

バーチャルリアリティ(仮想現実)という言葉を聞かなくなったように思います。これはそれが全然珍しくなくなった、ありきたりになったという意味もあるでしょうし、もしくはヴァーチャルリアリティとリアルリアリティを分けて言う必要が無くなってきたということかもしれません。いや、正確にはうまく分けられなくなってきたというべきでしょう。




SF小説を考えるとき、SFの世界はそれを読んでいる私がいる世界とはパラレルな関係にあったはずです。そのどこかの別の世界のお話は、偶に私の世界と似ている場合があって、そういうときSFの世界は私の世界へ、風刺という形で関わってくるのですが、依然この世界との比較対象としての距離を適切に保っていたと思います。




しかしSFを映画やテレビで可視化し始めると、「仮想、現実」のうちの「現実み」が重要視されます。ちゃちなSFXはB級のレッテルが貼られて相手にされませんし、CGはより生に近い現実を求められます。そんなことをやっているうちに映像の世界(ヴァーチャルリアリティ)は本当の世界(リアルリアリティ)と違わないのだと思いこんでしまいます。これは何もSFに限ったことではなくて、テレビのニュースもマイケル・ムーアのドキュメンタリー映画も同じことです。カメラが現実世界にレンズを向けていたとしても、映されたものをそのまま生のものとして受け取ってははまずいわけで、私の世界とパラレルにあるものとして比較、分析した上で、その風刺を私の世界にフィードバックしていこうという態度でいなければ、私の世界はカンタンにプロパガンダに浴してしまうわけです。




そもそもSFのSとは「科学(Science)を取り扱う」という意味ではなく、「科学的に鑑賞されるべきである」という意味なのではないでしょうか。剣と魔法の世界であろうが、急な氷河期で東京タワーが凍りつこうが、やくみつるが金正日の似顔絵を描こうが、それと私の世界との距離感を失って鑑賞してしまうと、私の世界は崩壊してしまいます。「きみはどう思う、リンダ」との問いにきちんと答えるためには、何を見るにしてもまずきちんとSFを鑑賞できなければならないのです。




華氏451は古い映画ですが、そのSFXがちゃちだといって終わってしまってはいけません。実はSFXなどSFの面白さとは全く関係ないのですから。(現に華氏451では屋外ロケが多用され、あの風景は当時のそのままの街並みと変わりがないにも関わらず、歴然と近未来の雰囲気を醸し出しているではないか!)そういうちゃちなSFの世界がパラレルに存在するのだと認めて見てみましょう。華氏451は昔あのとき小説でSFを読んだときのようなわくわくする気持ちを取り戻させてくれるのではないでしょうか。あえて古いSF映画を見る意義がそこにあるような気がします。




[amazon][DVD] 華氏451




[1966年/イギリス/フランス][原題]Fahrenheit 451 [監督]フランソワ・トリュフォー
[原作]レイ・ブラッドベリ[音楽]バーナード・ハーマン[出演]オスカー・ウェルナー/ジュリー・クリスティ/シリル・キューザック





MichaelMooreJapan.com(マイケル・ムーア日本版公式サイト)
KURE 556呉工業




[関連記事]暗いニュースリンク様が詳しく騒動を扱っています。




[追記]8/26 関連記事をアップしました。
華氏911 ガンジーで同じことをやってみろよ!

posted by KINEMAtograph Writers at 20:14| Comment(1) | TrackBack(0) | Kinema | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
またコメントさせて頂きます。
SFとSFXという言葉は似て非なるものです。紛らわしいですが、まったく次元の違う言葉です。SFXはSpecial Effects、特殊視覚効果のことで(…Xがないっ!?)、映画の手法の話ですよね(本文中で説明がないので敢えて)。ごっちゃになっている人が世間ではかなり多いことに驚きます。
SFほど現実味を帯びて我々に襲い掛かってくるフィクションはない、と思います。なぜならSFは人間が一番避けたがる恐ろしいものを真っ向から突きつけてくるからです。そういえば科学と化学をごっちゃにする人も多いですが、科学というのは「客観的に対象を研究する」という分野の総称なので、それを人に当てはめると哲学になるんだと思います。
ちなみに僕は幼少の頃、SFって何?と親に聞いたら、スーパーファンタジーだよと教えられて、大きくなってもずっとそれを信じていましたが(余談)。…長くなってすいません。
Posted by うつら at 2004年06月24日 20:49
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