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2004年08月27日

茶の味 小津安二郎=オタク?

山よ『茶の味』という題名を聞いて思いついてしまうのはやはり小津安二郎です。というのも小津には『お茶漬けの味』という作品があるからです。また小津安二郎の遺作である『秋刀魚の味』の仏題が『酒の味』であることも海外、特にカンヌでは話題になったようです。ある一家の日常(?)を追って進行していくこの『茶の味』について喋る時に小津作品が引き合いに出されるのは当然の事なのです。石井監督本人は小津安二郎よりも清水宏に共通点を感じているようですが、彼は『大学は出たけれど』の原作者でもありますから結局のところ小津安二郎にたどり着いてしまうわけです。

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2004年08月26日

華氏911 ガンジーで同じことをやってみろよ!

華氏 911賛否両論とのことですが、私は『華氏911』について賛否のどちらにもつかない感じです。同じような気分の人は多いのではないでしょうか。ブッシュ政権への賛否やイラク戦争への賛否、普段どのような意見を持っているかとは無関係に、『華氏911』の意見に対して自らの旗を示すことに抵抗を感じます。「だまされてたまるか」という気分になるのです。



まずは自らの無知を反省しなければなりません。アメリカの政治制度や徴兵制度、その他もろもろの知識がないこと。英語の聞き取りができないこと。こうした鑑賞以前の問題が私の作品理解を大きく妨げていることを認めざるを得ません。英文の契約書にサインしろと言われても、どうしても躊躇してしまう。その責任は私自身にあります。そしてもうひとつの問題、それはドキュメンタリーというジャンルに属してしまった映画のジレンマ、「作為」に関することです。作為があるからこそ映画たりえる、それは当然として、こんな作為では何も作れない、そんな作為です。

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2004年08月21日

ベン・シャーンの絵

玄関のベン・シャーン実家からベン・シャーンの絵が送られてきました。もちろん本物ではなくて、1981年に開かれたベン・シャーン展のポスターのようです。なぜ今それを送ってきたんでしょうか。押入の掃除でもしたのかしら。ふしぎな気分に引きずられながらも、さっそく新宿の東急ハンズへ行って額を買い、玄関の下駄箱の上に飾りました。

このポスターの中にプリントされた絵には『二十羽の白い鳩』というタイトルがついています。少し調べてみますと、これは『ラッキードラゴン』という一連の作品群に属していることがわかりました。1954年の第五福竜丸(Lucky Dragon)事件を題材に採っています。



ベン・シャーンの鳩画面の上部、半分以上が白い鳩に埋め尽くされています。白は白でも真っ白のあっけらかんとした明るさはなく、画面下部で亡くなった船乗りの肖像を高く掲げている赤い服の女の子と、茶色の柱のようなものにしがみついている男の子の眼差しから、強い憂いと哀切な平和への願いが伝わってきます。眼差しに見つめられて、ふとノスタルジックな気分とともに別の眼差しのことを思い出しました。

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2004年08月20日

ジョゼと虎と魚たち ほんのとらとほんもののとら

ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)早朝人目をしのんで散歩、あとバアが拾ってくる本、それだけ。家に篭り押入れに篭り、外界と遮断されたジョゼの暮らしを、恒夫は少しだけ外へ開いてあげました。彼が初めにしたのは『すばらしい雲』を古本屋で見つけることでした。ジョゼの中で「サガンの『1年ののち』の続編」が『すばらしい雲』に変わったのは私たちの想像以上に大きなことだったのではないでしょうか。

ふたりはドライブに出かけます。恒夫が運転するヤン車の助手席で、ジョゼは本で読んだ記号とそれがあらわすほんものを照らし合わせるように、はしゃぎます。車が動物園へ来たのはでこの世で一番怖いもの……虎を見るためです。「虎かぁ?」私の頭に小さなはてなマークが出ました。

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2004年08月19日

ドリーマーズ 先生、死ぬのはまだ早い

映画に酔わされるという体験を私にさせてくれるのは、いつもベルトルッチ先生です。水の中を泳ぐようなカメラワーク、一点の隙もないカット割り、人間離れした美しすぎる裸体、どれをとっても完璧なのに加え、追い打ちをかけるように鑑賞後必ず与えられる喪失感によって、私の脳内はぐにゃぐにゃになります。



シェルタリング・スカイ若干22歳で撮った『革命前夜』の情熱的官能美、『1900』の遣りきれない虚無感、『シェルタリングスカイ』の人間哲学、私にとってはすべてがマスターピースであり続けます。最近でいえば賛否両論だった『シャンドライの恋』でも惜しみなくその完全美を見せつけられ、短編『10ミニッツオールダー イデアの森』でさえも「ああこれが先生だ」と思わせるのだから完敗です。と泥酔しすぎてあんまりなので本作について…。

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2004年08月09日

誰も知らない 柳楽優弥クンたちの細部

誰も知らない板橋サティ5Fのワーナーマイカルで鑑賞しました。土曜日、初日ということもあり、映画館は満員です。上半身を露わにした柳楽優弥の愁いを帯びた悩ましい表情。ポスターから声は聞こえてきませんが、身体からにじみ出るあのオーラがカンヌ映画祭主演男優賞の実力に説得力を持たせている、その証の集客でしょう。そして話題作特有の現象も起こります。隣の席に座ったカップルが1時間も経たずして眠りこけてしまいました。上映が終わって「退屈だ、つまらない」と、否定的な感想が聞こえてきます。話題性に乗っかって見に来たものの、思っていたのと違っていたようです。一体この映画に何を求めてきたのでしょうか。また他の客が話しています。「あのあとどうなったんだっけ?」『誰も知らない』は実話を題材にとった映画です。ネタ元のあの兄弟たちのその後、ことの顛末を気にしているようです。「そうではない!」とつい声をあげそうになりました。ストーリーを求めてはいけないのです。

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