・共有結合について
水素分子を構造式で表すと、 H-H となります。 H- さんは常に一本の手を伸ばしていて、誰かと手をつなぎたがっています。要するに H- と H- がお互いに手を取り合って、安定した H-H となっているわけです。H- はひとりでは居られません。電子がひとつ足りない状態はあまりに不安定であると、高校化学で教わります。
・ハロゲンの酸化力について
K-I は K- と I- が手を取り合ったヨウ化カリウムという物質です。ここに Cl- がやってくることがあります。すると K- は I- から Cl- に乗り換えてしまって、 K-Cl (塩化カリウム)という安定状態に入ります。相手がいなくなった I- は不安定な状態に置かれ、他の誰かをさがし始めます。大抵は同じ境遇で隣にいた I- と結びついて I-I (ヨウ素)となります。
・配位結合について
H- には変なやつがいます。 H-O-H (水)はすでに全員が手結んでいて、余った手がないのですが、そこにもうひとりの H- がやってくると一方的に結びついて、 H3O+(オキソニウムイオン) になってしまいます。
こんなことを書いても、トーク・トゥ・ハーを見て流した涙の真実を語ることはできませんね。
ペドロ・アルモドバル監督は慎重に”2つ”ずつ描いていました。画面に映っているのは2人の人や対のものばかりです。その均衡の中で、ときにひとりぼっちが映り、ときに3人が映り、ときに2人+植物状態の女が映るとき、私たちはドキッとせざるをえません。とてもとても不安定になるのです。「うまい」と呻り、心からの拍手を送るほかありませんでした。
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[amazon] トーク・トゥ・ハー
2002年/スペイン/1時間53分/配給:ギャガ・コミュニケーションズ
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル/出演:レオノール・ワトリング、ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、ロサリオ・フローレス、フェラルディン・チャップリン 、パス・ベガ、ピナ・バウシュ


