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2004年04月08日

フットボールを見ることの不可避の残酷性

フットボールは、時として残酷極まりない体験を用意する。それは見ることの残酷性と言ってもよいものだ。




チームの完成度、戦術の美しさ、個々人の能力等、様々な要件を鑑みて「強い」チームは確実に存在する。私の考えではアーセン・ヴェンゲルが率い、ティエリ・アンリの居るアーセナルがそれにあたる。ヴェンゲルの志向するフットボールは、来るべき未来のフットボールの姿であるし、アンリの運動は、同僚のベルカンプやピレスが述べるように、二三年先を行っている。レアル・マドリードが「銀河系軍団」ならば、アーセナルは「異次元軍団」なのだ。なぜなら、アーセナルは、「時間」を超越しているチームだからである。銀河系という途方もない距離や広さをも凌駕する、「時間」という概念がアーセナルには付随するのである。しかし、それはアーセナルがフットボールの未来を体現しているという理由からだけではない。今現在なる「時間」さえも統御できるという意味も有する。実際、アーセナルのゲームは、その戦術的プランによって空間ばかりか時間をも演出し、ゲーム自体を支配する。アーセナルのゲームを一度でもみたことのあるものなら、その一見不可思議な印象を拭うことなどできないであろう。それは新しいフットボールの姿だからである。



アーセナルは空間ばかりか時間をも支配する。その事実ゆえ、今年のリーグ戦は無敗なのであり、強豪にしては僅差のゲームが多いのである。逆に、「銀河系軍団」のほうは、乱打戦や僅差負けを繰り返している。それは、彼らのフットボールに「時間」の概念がないからである。かろうじてジダンだけが、フットボールに「時間」が必要だと知っているので、何とかリーグ戦首位でいられるのだ。なぜ、あれだけのタレントを擁しチームが機能しないのかは、個性と個性がぶつかるからではない。単に「時間」というものに、コーチ、選手が鈍感だからである。「空間」を支配しても「時間」を操れなければ、ゲームには勝てなくなっている。それが今のフットボールなのだ。

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posted by KINEMAtograph Writers at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Sport | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする