イノセンス(03/16)と関連して、マトリックスのことについて省みてみます。
私はイノセンスにおける「こまかいもの」の正体を未だ理解していないのですが、同じ穴のマトリックスにおいてのそれは「コード」というものであったと思います。マトリックス世界の根元がコードであるということを悟ったネオという青ヒゲおじさんが、覚者としてのスーパープレイの数々を…。ですからかの有名な「弾よけ」等々を実現しているあの映画の世界を切り刻むとコードというものがありますよ、との種明かしを大前提としてあの映画自体が再構築されています。
マトリックスがつまらない原因がここに明らかになりました。私は「こまかいもの」の正体を明らかにされた映画なんかには心躍らないということです。SFの世界ではそれを内緒にしておくことがとても大切です。それは私の生きている世界でも内緒事になっているからです。いったい何なのかサッパリわからないこの世の中で混乱している私たちが、やはりサッパリわからない別のSF世界を見て、「世の中サッパリだねー」と共感するところが必要であり、そういうものがパラレルワールド同士を橋渡しするのではないでしょうか。
マトリックスがさらにいけないことには、コードを最小単位としてそれが作り出す複雑な世界の様子を、わざわざ難しい専門用語で説明し始めたからです。そしてさんざんごたくを並べた挙げ句、第2作リローデッドでは愛だの恋だのとやり始めるので、見ているこちらは完全に興味を失います。私の世界と全く切り離されてしまっているので、もうどうでも良くなってしまうのです。並んだごたくに意味を見いだせないのです。
近未来において世界の根元がコードだったらどうする?という仮定にうまく乗っかれないことに私の問題が隠れているようです。世の中からパソコンがなくなったら本当に生きていけないと思っている度合いに応じて、のめり込み方も違うのでしょう。私には「まだ気づかないのか」というキャッチフレーズはやけに偉そうな口振りで、その鼻っ柱をへし折りたく衝動をこらえるのに精一杯なのでした。
その点イノセンスはこまかいものの正体が分からない分だけ最後まで見入りました。もしかしたら詳しく調べればその内緒ごとがどこかで露わにされているんじゃないかとビクビクしてもいます。
やはりSFは「すこしふしぎ」なものを残しておいてもらわないと。
マトリックスホームページ
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1999/米 製作総指揮・監督・脚本:アンディ・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー製作:ジョエル・シルヴァー撮影:ビル・ポープ美術:オーウィン・パタソン音楽:ドン・デイヴィス 出演:キアヌ・リーヴス/ローレンス・フィッシュバーン/キャリー・アン・モス/ヒューゴ・ウィービング/グローリア・フォスター/ジョー・パントリアーノ/マーカス・チョン/ジュリアン・アラハンガ/マット・ドーラン


