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2005年03月20日

『ローレライ』 ひとのいたみ

ローレライパウラ(香椎由宇)という少女がもだえるのは、遠くで別の誰かが死んだサインです。彼女は一般の人間が行う共感を超えた、超共感とも言える力――水を媒介にした間接的な他者との接触によって、自分の上でヴァーチャルに他者の感情や感覚を体現できる能力――を持っていて、具体的には本来盲目な潜水艦に鮮明な視界を与え、またその副作用として戦死した敵軍兵士たちの痛みを彼女の身体で一手に引き受ける苦しみを背負います。これに似たことが『グリーンマイル』で描かれていましたが、もっと厳密には『ローレライ』は戦争アニメの系譜にあるでしょう。この映画を楽しむためには「戦争は知らないけれどもガンダムは知っている」そういう映像体験が必要なのです。「戦争映画なら何でも見に来る」といった風情のおじいさんたちがエンドマークを見ずして席を立って行ってしまうのは、無理もないことです。

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2005年03月04日

『世界の中心で、愛を叫ぶ』 遅れること あるいは永遠のコイ、そしてコエ

世界の中心で、愛をさけぶ スタンダード・エディション「世界の中心で、愛を叫ぶ」は、遅れた者たちの映画である。この映画において、「遅れること」ことこそ映画の根幹、つまり主題だ(この主題において、最近作でこの映画に最も近い作品は「スパイダーマン2」である)。

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2005年02月25日

『オーシャンズ12』 アメリカへの歪な回答

スティーヴン・ソダーバーグは『エリン・ブロコビッチ』や『トラフィック』で物語を過不足なく語り、所謂、ハリウッド映画として遜色ないものが撮れるアメリカの映画監督として半ば証明されているかもしれない。彼が『オーシャンと11人の仲間たち』のリメイクとして『オーシャンズ11』を周囲の期待を裏切ることのない微妙なフィルムとして撮り上げても別段、気にも留めずにいたが、続編となる『オーシャンズ12』がこうした歪なアメリカ映画に成り果てたのは理解できる気がする。今、「ハリウッド映画」を撮ることはこうした「あべこべ」な作品を創り出すことだというソダーバーグ流の皮肉だとすぐに気付いてしまい、『オーシャンズ11』『ソラリス』『フルフロンタル』と続く本作に作家性の端緒を容易く見て取ってしまうこと、それは間違いではないだろうし肯定も否定も受け付けないアメリカ映画の今なのだろうと思う。



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2005年02月08日

『オペラ座の怪人』 バラを摘む者、捨てる者

オペラ座の怪人女は常に二択を迫られています。恋を諦めて仕事を選ぶか、才能を捨て妻として家に籠もるか、です。この映画を観てクリスティーヌにヤキモキしている男性はおそらく身勝手な人なのでしょう。彼女は二人の我が儘な男性の間で求愛されてどっち付かずの態度を始終続けるがゆえ事件を大きくしていきます。ここで私はオペラ座を彼女の勤める会社、ファントムを上司、ラウルを同僚である恋人と置き換えて考えてみました。

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2005年01月21日

「金沢21世紀美術館」 空間芸術と掃除の関係

金沢城跡、兼六園周辺は城下町金沢の中心として加賀前田家が権勢を誇った時代の風情を今に伝えているが、同時にそこは、近代から現代の金沢を物語るような時代時代の最新建築が見られる地域でもある。金沢という街は金沢城を愛しながらも、常にそれに対して挑戦的な現代の建設をし、城下町の超克を目指してきた。それが金沢の呼吸の仕方なのであろう。新しい建築「金沢21世紀美術館」という名前も、金沢が兼六園の時代で停止してしまうことへの反発が強くにじみ出ていて、非常に金沢らしい。

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2005年01月14日

『さよなら、さよならハリウッド』 撮り続けること、見続けること

さよなら、さよならハリウッド待てど暮らせどウディ・アレンの新作が日本公開されない、と年初に新しく書き起こしたプロフィール欄でぼやいてみましたが、それから幾日も経ずして『さよなら、さよならハリウッド』試写会チケットが舞い込むという僥倖に、生きててよかった……と本気で思うわけです。いえ、私がではなくて、彼、ウディ・アレンの2002年現在(!)の生存を今ようやく確認してきました。黒船でも太平洋を渡るのに3年もかかりますまいに。そしてまだ渡ってこないのが3作品もあります("Anything Else"(2003),"Melinda and Melinda"(2004),"Match Point"(2005))。DVD化されないところを見ると、日本の興行主たちに劇場公開する意思があるとみました。"Anything Else"は今年公開との御触れが出ていますから、この調子で3年の日米格差を巻き返してくれることに期待したいと思います。……ぼやいてばかりじゃまずかろうから次段へ。

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2004年12月25日

水色と茶色のテンプレート

久しぶりにデザインを一新しました。これで来年も大丈夫。



変更点

この頃JUGEMの画像サーバーが非常に具合が悪いことを勘案し、画像を使わない感じになっています。

小さい画面でも崩れないように配慮したつもりです。



動作環境

WinXP IE6.0 及び FireFox1.0 でのみ確認しています。



きっと様々な環境で様々な問題が生じると思います。ご報告いただければ幸いです。よいお年を。

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2004年12月21日

ターミナル 〜待っている間、何をしますか?〜

ターミナル待つ、待たせる、ただそれだけのことで、こんなにも楽しい映画が生まれてしまうんですね。『ターミナル』は実にシンプルな映画なのです。

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ハウルの動く城 〜キスの魔力〜

ハウルの動く城『ハウル』の要点が、見た目と本質の問題だということは誰の目にも明らかだろうと思います。思い切ってまとめてしまいますと、人間の本質や真実というもの、つまり愛の理由となるべきものは、単にその人の見かけに現象しているものでは言い尽くせない深さと広がりを持っている、とそのようなことでしょう。これを究極的に言い切ることは、見ることの真実性を疑うことなのですから、映画という表現と真っ向から対立することになります。宮崎駿の新作は、見ることでしか真実を語りえない映画そのものと対立し破壊しようとする、挑戦的な試みです。結論を先取りすると、私は間違いなくこの『ハウルの動く城』は彼の最高傑作だと思うのです。

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2004年12月04日

海猫〜イコンへの欲望〜


自らの出生時の事件を理由に、婚約者から罵られ別れを告げられた美輝(ミムラ)は失声症に陥ってしまう。映画はこの出来事を導入に美輝の母親・薫(伊東美咲)の物語へと回想されていくのだが、突然、声を失ってしまう美輝の姿はフィルムと全ての登場人物たちを覆い尽くすように見える。最後に美輝たちが目にする広次(仲村トオル)が描いたイコンに向けて、このフィルムは動くことを止めていく。

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posted by KINEMAtograph Writers at 03:21| Comment(3) | TrackBack(0) | Kinema | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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